ウェールズの作品は、神秘的な神話の世界を絵画のように描き上げることをテーマとした。夜のとばりに幻想的に浮かび上がるコンウィ城、空を舞うドラゴンが印象的です。国花の水仙とプリンセスオブウェールズの薔薇の花が全体に描かれることで華やかさを醸し出しました。作品の見どころは、地色の部分に用いられた技法です。油絵のようなタッチを生地の上に再現するために、しけ引きという技法を用い、うっすらとした縞模様を描き出し、さらにはローケチ染を用いることでその中に濃淡をつけています。その結果、幻想的なキャンバスが完成しました。水仙の花と薔薇には金銀の箔を用いて装飾し、花ひとつひとつにボカシを加えることで立体的に染め上げ、刺繍を用いて仕上げています。京都に伝わる多くの伝統的な染色技法を駆使し、ウェールズの威厳を表現しました。
着物と同じ原画をもとにしてトータルに作品としての完成度を高めた染めによる作品。城壁に石積みをデザインの中心として白からブルーへのボカシを用い、城と花で後ろの部分を構成し、前腹には国旗を描くことでウェールズのアイデンティティを表現している。